アスキーアートの著作権をめぐって

株式会社ネッツジャパンは、MMORPG「墨香(ぼっこう)オンライン」にて、アスキーアート(AA)を元にしたキャラクタ「オマエモナー(モナー)」が登場しているスクリーンショットを公開した。
同社は巨大掲示板群「2ちゃんねる」とのコラボレーション企画として、AAのキャラクタを「墨香オンライン」に登場させることで合意したという。今回スクリーンショットに写っている「モナー」は、この企画の第1弾に選ばれたキャラクタ。クローズドβテストでの登場は未定としながらも、正式サービスではプレーヤーキャラクタとして登場させる予定だという。

モナー」は、2ちゃんねるで生まれたAAのキャラクタで、著作権者は不明。それをゲームに登場させることについて、ネッツジャパンはリリース中にて、「ネットワーク上で語られている『AAは誰にも縛られない』という精神を尊重し、今後も2ちゃんねると協調しつつ、AAキャラクタ達を採用していきたい」とコメントしている。


引用:http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050920/bokkou.htm

事の起こりは「のまネコ問題」の最中、上記のような記事が発表されたことです。最初はどさくさに紛れてスルーされるのかな?と思っていた事項でしたが、のまネコ方面が落ち着いたことで、ある方面で盛んな議論がされています(墨香オンラインについての二人の弁護士の見方: Matimulog)。ここで大きな焦点となっているのは、作者不詳のAA著作権管理の今後と、もし民間による管理の場合にAAコミュニティがどのような利益を享受し、役割を担うかという点です。

そのことについて、超破瓜さんは以下の点を懸念しています。

音極道茶室エントリでのコメント欄でも「第三者的な立場のAA管理団体」に供託してコミュニティ全体への還元を目指すべきだ、と云う方向性に傾きつつある様に思う。そこで問題となるのが「管理団体」の公平性(もしくは中立性)の問題となる。

引用:脳味噌の体操 - 超破瓜の酔いどれキッチン

私もこうした団体は常に胡散臭さを感じてしまう性質なので、公平性をチェックするのはもっともなことです。もしこうしたAAコミュニティを特定するならば、現状では2ちゃんねるが有力なのは事実でしょう。しかし、現行法からすると脛にキズを持つ2ちゃんねるやその他の掲示板グループの妥当性、またネット世界の栄枯盛衰が激しいことも考えると、出来ればどのグループからも一歩距離を置いた団体を形成する必要があると思っています。

すなわち一つの手法として、その団体へ賛同した各コミュニティが緩やかな連合を組むことで、拡散したキャラクターの権利結合が実現出来るのではないでしょうか。そういう意味で、上記記事の引用にある「権利の窓口」機能構築が、AAコミュニティの出来る実現性の高い活動かと思うのです。それと同時に、やはり権利者の明確化も進めていく必要があるでしょう。このへんのノウハウはOS娘問題などが起きたふたば☆ちゃんねるを参考にするといいかもしれません。


ちなみに私は以前の記事で書いたように、AAの著作権という括りではなく、ネットキャラクターという括りでいったほうが適切かと考えています。というのも、およそ商用レベルに使用される可能性があるものは、ネットでの認知度が深く関わっており、その段階になったキャラは同人で絵化・動画化・グッズ化されています。つまり、AAという範囲では無くなっている場合が多いのですから。


追記 2005/10/28
参照:【ファンキー通信】のまネコ問題を追うアスキーアート保護協会 - ライブドアニュース
参照: